空が一つに 日が一つ
山が二つに 川が三つ
一つとばして 五つとくれば
森のタヌキは五匹の子持ち♪
春が一つに 夏一つ
秋が一つに 冬一つ
指を折っても片手で足るが
おらの歳なら、そういかぬ...♪
....
ソエ(おばあちゃん)の唄は朝日をうけた
暑寒別岳にひびきわたる。畑のそばには半分朽ち果てた家、庭先には真っ白な除虫菊が咲いている。
開拓村に独りとり残されたソエ。
トウモロコシ畑の手入れに余念のないソエ、そこに、新婚旅行のツーリングの途中、聖子と健吾が立ち寄った。 久しぶりのお客にうどんとお茶で
歓迎するソエ。しかし訪れた屯田住職から、明日ソエは旭川に引きとられることを知り、聖子は新婚旅行を抜け出して、ソエの送別会をするために、戻って来て
しまった。 聖子は結婚してしまった不安をソエにうち明けた。 ソエは開拓に入ったころがよみがえるのだった。 相手も知らされずに嫁に行ったこと、開拓に
入って三年目にやっと育った野菜、
除虫菊が軍艦の錆止めに徴用され、山一面に真っ白い花が咲き乱れたこと....
マンションに引きとられたソエはやることもなく部屋に閉じこもったまま。 ある日、アルツハイマーの老人・日下部と友達になった。 世間体を
気にする息子夫婦をよそに週一回のデートが楽しみになったが、間もなく老人が死んだことを知らされるのだった。 再び部屋に閉じこもってしまうソエを、孫
の真穂が山の家に連れ帰ってしまった。
そんな折り、息子・良平の木工会社が倒産し、ローンの残るマンションを手放すことになってしまった。 定年を目前に、良平家族はバラバラになってしまうが....