ブレゲの時計 トランスアトランティック TYPE XX Ref.3820 【BREGUET】

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ブレゲ トランスアトランティック TYPE XX

ブレゲ  トランスアトランティック TYPE XX

BREGUET  TYPE XX TRANSATLANTIQUE Ref.3820

1775年に工房を設立、2015年には創業240年を迎えた、 時計界の名門中の名門ブレゲ アビエーションウォッチ航空時計パイロットウォッチTYPE XX トランスアトランティック です。

ブレゲの TYPE XX(タイプ 20) は、1950年にフランス航空試験所が海軍航空隊のパイロットのために、クロノグラフの開発を依頼した ことから始まります。 1954年より海軍航空隊や空軍に導入されていきました。
最初期の生産数は500本と少なかったことからすると、搭乗するパイロット等の士官へ支給をされたのかと想像できます(この数では、実際に搭乗しない士官 や下士官・兵卒までは行き渡らなそうですね)。 そして、第一世代、第二世代とインナーダイヤルやベゼル等の改良を重ねられ、また一部は民生用にも生産を されて、1970年代まで生産が続けられました。



1994年に、生産数を限定した復刻版が TYPE XX の第三世代として登場し、アエロナバルと命名されて自動巻化が計られました。 ’95年からは、文字盤のデザインが 現在 のアエロナバルのものへ変更された、量産版が登場して今にいたります。

このトランスアトランティック Ref.3820 はアエロナバルにデイト表示が追加された、TYPE XX の第四世代として分類されます。 デイト機能は6時位置に追加搭載されています。 針とインデックスはホワイトゴールを採用、また、ダイヤルは艶のある ブラックエナメルとなっていまして、アエロナバルよりラグジュアリーな仕様となっています。

トランスアトランティックのムーブメントは、アエロナバルにも採用された、 リスターティング・フライバック機構を持つクロノグラフ用自動巻ムーブメントである、ヌーベル・レマニア のCal.582にデイト機能を搭載したCal.582Qを採用。 25石。 28800振動/時間。 45時間の パワーリザーブを持ちます。 隠れているから、裏蓋を開けない限りは見ることはありませんが、巻き上げローターと ブリッジにはコート・ド・ジュネーブ、地板にはペルラージュペラージュ)装飾が施されています。

トランスアトランティックのケースサイドには、ブレゲ時計の特徴的な装飾でも ある、コインエッジ(フルーテッド)が刻まれています。

風防はドーム型で、回転ベゼルと一体の曲線を描くサファイヤ・クリスタル製で す。 100m防水。 リューズはスクリュウロックとなっています。 トランスアトランティックは、クロノグラフ秒針 と30分積算針に夜光が入れられているので暗闇でもストップウォッチが利用出来るのがウレシイですね、アビエーションウォッチと呼ばれる腕時計の特徴 の一つとして上げられます。

もう一つの、アビエーションウオォッチの、特徴として上げられるのが、30分 積算計 のインデックスのデザインですかね。
普通のクロノグラフの場合は多くが、1分刻みのインデックス、5分毎に区別しやすい様に大きめなインデックスのデザインがされていますが、ブレゲの TYPEXXを初めとする、アビエーションウォッチと呼ばれるクロノグラフの場合は、2分刻みのインデックス、6分毎に区別しやすいよう大きなインデック スとなっていることが特徴です。
この特徴的な30分積算計は、たまに「1分ごとが判りにくくて、見難い」「文字盤のデザインを重視した結果、実用性の低い意味の分からないデザイン」 「ぶっちゃけ使いにくいよね」と酷評されてしまうことがありますが、実用本位を主義とする軍用時計で、デザインだけに重きを置いた結果として、はたしてこ のような使いにくいとされるデザインとすることがあるのでしょうか?

文字盤をじっくり眺めて、よくよく考えて見れば気が付くことですが....普段、我々が生活する中では、1時間を十等分・十進数にして、0.1時間とか、0.7時 間とか表現することって、あまり無いですが(会社の勤怠管理とかって、0.5時間刻みとかありますね)、ブレゲのトランスアトランティックの 30分積算計の6分ごとの大きなインデックスは、まさに、この「0.1時間単位」十進数による計測に重きを置いているデザインと言えます。
とはいえ、0.1時間単位(6分ごと)だと大味すぎるし、1分単位でも計測しやすいに越したことは無い、かといって、1分単位の細かなインデックスにして は「細かすぎて判りにくい」ということから、細かなインデックスは2分単位と言う形落ち着いたものと推察できます。
逆に言えば、当時の軍用ないし航空航法上で0.1時間刻みの計測が必要とか、なんらかのパイロット達からの需要からこのようにデザインがされたものである とも言えますね。
このデザイン、確かに慣れないと、使いにくいのですが、ドライブとかで、一分単位での詳細な記録の必要が無く、ざっくり時間を計測したいときとかに重宝し ます。 なれてしまうと、よく考えられたインデックスだな〜とさらに愛着が増すこと請け合いです。

ちなみに、アンティークの アビエーションウォッチ (パイロットウォッチ)においては、ロンジンやジラール・ペルゴ等に も、BREGUET Type XXにそっくりなデザインのものを見受けることが出来ます。 また、ドダーヌやブライトリング、ホイヤーに おいても、似ているデザインが見受けられます。
当時、フランス軍により規格化された デザイン・スペックがあり、フランス軍へ複数のメーカから導入されていたのか!?とも考えられますし、実際、フランス軍以外では、ポーランド軍 が、ロンジンのType XX デザインの腕時計を採用しており、軍用アビエーションウォッチとしては、Type XX は定番のデザインだったとも考えられます。

また、Type XX の実用本位の秀逸なデザインは、民生用として多くのメーカーが採用していたとも想像できますね。

時計メーカーとして創業し、マリー・アントワネットなど、多くの王侯・貴族に御贔屓にされたブレゲですが、創業者のアブラアン・ルイ・ブレゲから数えて、4代目の代には電気通信分野や各種計測機 材の製造へと進出を果たしていきまして、1870年にはブレゲの時計製造部門は、その長であった「エドワード・ブラウン」に引き継がれます。
以後は、名門ジュエラーであるショーメの傘下になるまでの 約100年間は、ブラウン家の経営により時計メーカーとしてのブレゲは存続をしていきました。 紆余曲折を経て現在は、スウォッチ・グループの中でも最高級ラインを担うブランドとして君臨しています。

ところで、時計部門をエドワード・ブラウンに売却後のブレゲはどうなったかといいますと、その後は、航空機産業へも進出していき、第一次世界大戦 ごろには、傑作とされる、複葉機タイプの爆撃機や偵察機を生み出しており、近年においては、対潜哨戒機「 アトランティック」を手がけたりもしています。 この時計の名前に「アトランティック」 が使われているのは偶然ではないですよね、きっと....
以前は、ダッソー・ブレゲ社として、航空機メーカーの社名にもブレゲの名前が残っていましたが、M&Aと時を重ねていくうちに、現在では 航空機メーカの名前からは「ブレゲ」の名前は無くなっています。 

わたしの場合、元々は、ドダーヌのアンティークのアビエーション・ウォッチを 見かけて、そのデザインの良さに「欲しいな」と思ったのがきっかけだったりしました。  しかし、アンティークの腕時計ばかりでは、 日常のヘビーな使用には心許ないので、デイリーユースを目的として、デイトあり・メタルブレスという基準で、現行品のクロノグラフの 購入を検討しまして、お気に入りのアビエーション・ウォッチのデザインを踏襲している、このトランスアトランティックを 選択しました。 ここ最近は、一番多用している腕時計です。

P.S.
ブレゲの時計には、航空機のコクピットに搭載する BREGUET TYPE XI ってクロックがありますが、この TYPE XI は文字盤に TYPE 10/1 って表記されているんですよね。 とういことは、 TYPE XX は "TYPE 20" ではなくて、"TYPE 10/10" ってことになるのかな!?  アレッ!?
ついでに、もう一つ余談を....文字盤のBREGUETの筆記体文字って、第一・二世代と第三世代の初期まで、"T"の横線が無いんですよね.... 第三世代の途中から横線ありの"T"になってます....単なる気まぐれかかと思いきや、フランス流の表記だと横線は省略となる様です!? スイスの 時計メーカー の多くがフランス語圏に位置するからか、メーカー名や、機能名等には、割とフランス流の表記が見受けられますね。 そう言えば、ロレックスの代表的な アンティークであるバブルバックも初期のころの、文字盤の「クロノメータ」の表記には、 やはりフランス語の表記が採用 されていました。 まあ、表記法一つでも、お国柄と、デザインも相まって、さまさまだなと。 

ブレゲ 時計の本


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