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カルティエ サントス スクエアーSANTOS de Cartier
このサントス”スクエアー”の特徴は、全体的にフラットでシャープなデザインといえるでしょう、同じサントス ドゥ カル ティエ・ラインで、後発のサントス”ガルベ”が緩やかな曲線を 生かした 柔らかな雰囲気と比べると、この”スクエアー”は、相対的にソリッド感あふれるデザインです。 サントス”スクエアー”のデザインは、1978〜1986年ごろまで製造をされていました。 この腕時計は、自動巻。 ケースは裏蓋が無いモノコック。 同じサントスでも、ムーブメントがクォーツだとケース裏側はフ ラットな作りですが、自動巻の 場合は、自動巻ローターがムーブメントに在る分厚みがあるので、ムーブメントをを納めるためにケースの裏側はフラットではな く台形状に膨らんだ形状をして います。 カルティエの腕時計のラインナップにあって、サントスと名前を冠した時計の登場は、南米ブラジルの大資産家であり、フランス はパリにおいて、20世紀初頭、 当時、まだ黎明期であった飛行機・飛行船を操り、航空機史上に名を残した飛行家「 アルベルト・サントス・デュモン」が、「飛行中に懐中時計では不便」と、カ ルティエに相談した ことに端を発し、デザイン・開発された時計がルーツとなっています。 後に名前も「サントス」と銘々され量産され、現在に至るまで作られ続けている名品です。 2004年は、最初の カルティエ・サントスの 登場から、ちょうど100周年となりました。 飛行家「アルベルト・サントス・デュモン」が活躍した1900年代当時は、紳士の身だしなみ・装身具としての懐中時計が、ま だまだ当たり前の時代でした (鎖でスーツに繋がれ、懐に偲ばせた懐中時計を、颯爽と取り出して見ることが粋であると)。 腕時計らしい形態のもの、小型化がされている時計は、その当時でも、一応存在はしたと言えるものの、それらは、婦人用の宝飾 品・アクセサリーとしての 位置付であり、「時計機能も付いた、 ちょっと風変わりなブレスレット」といった扱いであり、そもそも、その精度は、お世辞にも正確とは言い難かったそうで(分針 が無いようなモデルもありました)、 まだまだ「正確な時間を知るための実用品としての道具」としては腕時計は、認知されていないものでした。 そんな時代の中で、カルティエは、あえて、正確な時を知るための実用品として、小型で携帯しやすい、紳士用の腕時計を開発に 着目するという、時計の歴史上 においては、カルティエ・サントスはエポックメイキング的な位置づけの時計であります。 時計の制作において、歴史と伝統に裏打ちされた、また、それ故に保守的になりがちとも言える超一流の名門時計メーカーではな く、宝飾メーカーのカルティエ だからこそ、腕時計といった新しい分野に対して何の気負いもなく、新しい自由な着想を得られたからこそ出来た、そんな新しい コンセプトの作品がカルティエ のサントスであると言えるかもしれませんね(そして、なにより、ジュエラーならではの卓越したデザインセンスが、実用一辺倒 の無骨なデザインということに ならずに、センスあふれたサントスの、現在にも通じるデザインを生み出し、商業的な腕時計の成功に寄与したのではないか と)。 腕時計のエポックメイキングな立ち位置として知られるサントスですが、(婦人用の宝飾・アクセサリーではなくて、正確に時を 刻む実用を目的とした) 腕時計の登場は、実は、1879年にまで遡ることができます。 ジラール・ペルゴ社が、当時のドイツ帝国海軍に腕時計を納品したと言う記録が残っているそうです(残念ながら、この最初に納 品された腕時計は、現物はおろ か、設計図 も現在は残っていないそうですが、その後 継となるモデルは現存しており、現在、博物館で拝むことが出来るそうです)。 また、1899年のアフリカ南部地域におけるボーア戦争では、イギリス軍将校が懐中時計を改造して、腕に巻いて使用していた という有名な話も残されて います (現在では、この話は、実際の戦場における史実であるかは定かでは無いとされている様ですが....)。 しかし、19世紀末ごろには、ヨーロッパ各国において、懐中時計を改造して腕に装着する為の皮革製の器具や、さらに、装着し た懐中時計の風防を保護する 専用金属製ガード等も登場しており、その広告が打たれて、実際に販売されたりしている記録があるので、「時計を腕に付けて使 いたい」という(主に軍用とし ての)需要 は、すでに 出来上がりつつあった様です。 最初期の腕時計は、懐中時計のムーブメントをベースとしたために巨大な腕時計で、「とりあえずは、腕に装着出来るようにし た」といった類のもので、 「まずは、勢いで作って見ましたが」 って感じですかね(もっとも、元々が軍用を主目的とすることを考えれば、大きい方が視認性が良く、都合がいいともいえます ね)。 懐中時計並に 巨大な腕時計は、「腕時計の黎明期」ならではの特徴です。 現在でも、1910年代ぐらいまでのアンティークの腕時計ならば、まれに市場でも流通していることがあり、その当時の懐中時 計のムーブメントをベースとし た巨大な腕時計を、実物を見て偲ぶことが出来ます。 今日の我々がイメージし実際に使用する小型の「腕時計らしい姿の腕時計」の登場と、その普及は、カルティエ・サントスの登場 あたりから、徐々に進展して いくことになります。 一方で、婦人物としての腕時計は(その正確さや、実用性はさておき)、 その歴史は、カルティエ・サントスや、ジラールペルゴの腕時計からさらに遡れることになります。 懐中時計を小型化しての装飾品・アクセサリー化という形から始まり、豪華 な装飾を施した小型の時計をナースウォッチの様に腰のベルトに 付けたり、ブレスレットの形態で、まるで腕時計の様に付けると言う形が登場しており、諸説ありますが、1800年代・19世 紀の初頭には、 王侯貴族のご婦人方には受け入れられていた様です。 1812年には、ブレゲが婦人物の小型時計(腕時計)を制作した 記録が残っていたり、 1813年製造の腕時計(というかブレスレット)が現存したりもしています。 その当時の時代背景から、当然、量産や市販されるような品物ではなくて、いずれも、王侯貴族のご婦人への一点モノの時計と なります。 現代のサントスは、ビス止めされたベゼル、リューズガードを備えたりと堅牢性を高めたデザインとなっており、実用的なフィー ルドウォッチ的デザインを 色濃く 残していますが、リューズには青色の宝石「スピネル」(日本 語では尖晶石)があしらってある ところなど、単に実用品としての腕時計というだけでは終わらせない、ジュエラーであるカルティエらしいデザインといえます。 サントスは、白色のダイヤルに、ブルースチールの針がたいへん映えます、このバランスと美しさは、さすがカルティエ です。 これの腕時計では、3時の位置にカレンダーがあります。 ちなみにクォーツの場合は、6時位置にカレンダーが配置 されています。 この時計のダイヤル表記は、ローマ数字と、ぐるりと一周する、通称「レールウェイ」と呼ばれるハシゴ状のインデックスから構 成されています。 最近の サントス・シリーズは、この定番のレールウェイ以外のデザインも増えてダイヤルデザインも多岐にわたっていますね。 この時計も、ロレックスのデイト・ジャスト・ティファニーWネームと 並んで、結構、日常 において、かなり使い込んだので(ベゼルには見事なキズを付けてしまい ました)、若干傷み も目立ってきたブレスをオーバーホールついでに 交換しよう(出来れば傷んでいるコマを)と、カルティエ・ジャパンで聞いたところ、同タイプ(スクエアー用の角張っているデ ザインで、ブレスの開閉が片開 き)のブレスは「もう無い」とのこと、当然ブレスのコマも単品は無し....残念。 そういえば、カルティエといえば、なぜかPASHAがけっこう流行っていましたね。 常々欲しいと思いましたが超が付くほど高額なので諦めていたけど、PASHA C という廉価版が出てきてウレシイ限りです。 流行が去ったら欲しい1本です。 欲しいと言えば、角形のクロノグラフ(タンクアメリカン・クロノリフレックス)も魅力的です....が、あれクォーツなんで すよね、 残念。 |